Home > Archives > 2009年11月

2009年11月

感謝09秋天

ありがとう09秋天。
なんと深く心に刻まれた日々だったことだろう。
生涯忘れられない宝の秋。

安渓まで降りてきました。
おとんの山も、おとんも、もう遠い。

ありがとう09秋《心の隊員》♪隊長本日帰国しますっ!びしっ☆

Continue reading

工人問題

 ※この記事は、製茶しながら少しずつ書いていた文章です。
 今は最近記事に置きますが、数日したら書いていた時の日時に直します。
 投稿場所が移動しますが、09秋天♪鉄観音カテゴリー開けば見られます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


今は詳しく説明している時間ないけれど、
産地ではいろんな問題が深刻化してきている。

特に2年程前から急速に深刻になっているのが、工人問題。
工人の技術能力の問題ではなく、今はそれ以前の問題。
工人がいない。
製茶に欠かせない労働力が不足している。
そのため、高山では多くの茶樹が収穫期を迎えても放置されたままになっている。


時代は変わった。
『優秀な工人が見つからない』なんて、今となっては贅沢すぎる会話。
ほんの2~3年前までは日常会話、しかし、すでに遠い昔の夢のような会話。

今や、工人に能力や技術の要求などしている場合ではなくなった。
優秀であろうがなかろうが、なんとしても労働力として確保しなければ今日の収穫がない。
そういう時代に突入している。


茶樹があっても、それを収穫しなければ「茶葉(成品)」にはならない。
収穫できる茶樹があっても労働力(採茶工人)不足で収穫できず、
老化していく葉をつけた茶樹を目の前に途方にくれる農家が激増している。

収穫した青叶があっても、それを加工しなければ「茶葉(成品)」にはならない。
加工できる収穫済みの青叶があっても労働力(製茶工人)不足で加工ができず、
痛んでゴミと化す葉を目の前に途方にくれる農家が激増している。

高山の多くの茶農家で、工人確保ができなくて『製茶困難』になっている。
茶樹はあっても「茶葉」がない。

 

ここ数年で、農村部は急激に過疎化した。

国は、今や歴史に例を見ないほどの超特急大発展の真っ只中。

若者の多くが、街へ出たがる。
街や街に近い標高の低い土地は、交通の便も好く、大型機械を導入した工場がたくさんでき、
その横では更に新しい工場がどんどん建設され、嫌になって辞めても翌日働く場所に困らない。
ひとりあたりの生産能率が好い量産品を作る工場では、個人農家よりも平均して日当が高く、
現代的な設備もあり、大勢の工人の流れ作業で個人への要求も低く責任を問われることもない。
近くには店もあり、同年代の友人が増え情報も多く、山にいるより現金を手にすることができ、
流行のものや興味あるものがすぐ購入できる環境にある。
山奥には無い刺激や魅力に溢れている。

若者のみならず、働ける世代の多くが年寄りに子供を預け山を離れ長期出稼ぎに出る。
山では自給自足が可能で飢えに苦しむ事はあまりないが、目新しいものはなく現金も貯まらない。
今や街に出れば日雇い含め農村部にいるより多くの住み込み働き口が見つかり現金も貯められる。
貯めた現金を手に年に一度帰郷し、子供が学校へ行く年齢になれば親子揃って街に住みたい、
子や孫に将来幸福になって欲しい生活を向上させ好い教育を受けさせたい、多くがそう願う。
そのためには現金が必要。

高山から人が消えていく。
標高高く交通便が悪くなるほど、人口が減る。
茶樹にとって環境が好い大自然ほど、人がいなくなる。


過疎化 → 労働力不足 → 工人争奪戦 → 工人日当高騰 → コスト上昇 
→ 価格上昇 → 市場高騰 → 工人の日当要求更高 → 【個人農家】資金不足 
→ 製茶できない → 収穫がない → 収入がない 

他にもたくさん側面はある。

工人争奪戦 → 工人の技術能力道徳低下 → 生産能率低下 → 生産量激減 
→ コスト更上昇 → 【個人農家】原価割れ続出 → 赤字 → 出稼ぎ 

工人の技術能力道徳低下 → 品質低下 → 高品質茶減少 → 高品質茶価格上昇 
→ 市場高騰 → 工人の日当要求更高 → 高品質茶コスト更上昇 → 【個人農家】資金限界 
→ 工人への要求減少 → 品質更低下 → 収入減少 → 貧困 

他にもたくさんたくさん・・・。


おとんの家では、今秋の製茶コストは今春と比べましな日でも1.5倍。
最悪な日では10倍以上。
たった5ヶ月でだ。
おとんの家だけではない。
またおとんの家のような高山山間部だけにとどまらず、産地全体に共通。
そのうち茶農家は消えるのではないか、という勢い。

それでも、今日までのところおとんの家で作っている私達の茶葉はまだましなほう。
おとんの努力によって昨日までは工人が確保できているから。
近所では何軒もの農家が工人確保ができず、その家のおかん達が涙している。
たしかに、工人日当高騰で今春より製茶コストは上昇している。
それに、工人能力の影響で生産性が下がっているから更なるコスト上昇も免れない。
しかし、こんな状況だからこそ少しでも無駄にしないようにとおとんと私ふたりでの
直接製茶を24時間徹底していることもあってか、品質は確実に向上している。
とは言え、明日以降は分からない。
その前に、今日どうなるかまだわからない。


似たような状況は、なにも安渓鉄観音の産地だけでない。

例えば龍井、伝統龍井は産地ではもう幻になってしまった。パターンは違うが、
そのコスト上昇率は産地が大都会圏だけにその始まりも速度も幅も異常と思えるほどで、
《心の隊員》一丸となっても追い付かず来春は検討せざるを得ないのが現実。
私達がオーダーやめればおじちゃんの伝統龍井も幻になる、最後の砦も風前の灯火。

例えば茉莉花茶、もう幻になってしまった。清水が豊富で環境が好く立地都合も好いだけに
新駅の開発区となり、すでに環境は変わってしまった、多くの花園は売られ高級別荘群と化し
河水はにごり、たとえ莫大な資金があってもあんな愛莉花茶はもう2度と作れない。
07は産地で30~40年ぶりの「花天」、その年が天と私達の最後の大花茶縁となった。


上がり続けるコストを抑えるには、生産率を上げることだろう。
工人に技術能力を要求せずにすむには、機械性能に頼ることだろう。
手っ取り早いのは、交通便の好い標高低い場所に茶園と製茶所を作り、最新大型機械と
大型空調等の固定設備に投資し、品質標準を下げとにかく量を作る、
そうすれば生産率はあがる。包装(袋・箱)の見栄えに力をいれどこにもないような
「文化的・発展国風・珍しい・豪華」にすればすぐに人目を引き大量予約が入る。
実際そういう場所は増え続けており、日当も高く、今日も工人が流れている。

逆に、それができない高山の茶農家の大部分は、今日も頭を抱えている。
その日の工人確保をどうするか。

 

それは簡単な話ではない。

採茶工人は本地人が多い。
本地人の若者の多くが街に出稼ぎにでて、残っている年寄りは孫と家畜の世話で忙しい。
残っている若者には学校へ一度も行っていない人も多く、地元の方言以外は話せず、
上下、左右、123、が通じない場合も多く、街には出られない。
難しい要求は通じない、簡単な要求を間違えることも日常茶飯事。(例:08秋小蜜)
険しい高山への山登りや疲れる労働を嫌がる、仕事が遅い、山で昼寝している。
ひとり怠けると全員怠け出す、見ていないとやらない、前払いでないと動かない、
ご飯が気に入らないおかずがしょっぱいからと食べるだけ食べて途中で帰る。
少しでも楽で待遇の好い場所を聞きつけると、その場で仕事放棄して消える。
注意すると日当を吊り上げる、更に注意すると気分を害して消える物を盗む。

製茶工人は外地人が多い。
製茶の時期は、産地人口の約8割が外地人になる。
その多くが、その日暮らし、出稼ぎ、携帯電話片手に中古バイクにのって風任せ、
もっともっと貧困地域の農村部出身、稼ぎになることを探して一年中さまよう生活。
現場見て量が多いと嫌がる、面倒だと逃げる、技術要求すると文句を言う怒る投げ出す。
多くは製茶機械扱う以外に技術ない、都会では働けない、製茶時期(稼げる時期)は短い、
少しでも待遇(日当・食事・酒・タバコ)がよい場所があると仲間うちから聞いたとたん、
加工途中でも放棄して消える。

このエリアでは、本地人外地人どちらにしても「契約」や「約束」の習慣はない。
「明日の約束」などしても意味がない。
固定の場所で働く習慣がない、数年前までは多少残っていたがすでになくなった。
茶農家のおとん達は、毎日毎日朝から晩までひとりひとりに電話をして
なだめたりお願いしたり、まずは姿を見せるまで根気よく説得を続ける。
工人の雇い主への待遇要求は日に日にあがり続ける。
雇い主が工人へ技術要求すれば、面倒くさがる逃げる投げ出すもう来ない。

それでも叱ってはいけない。
製茶時期はどこでも日常的に泥棒が絶えない。
気分を害させてはいけない。

大切にしなければいけない。
習慣が、常識が、環境が、教育が、違うだけ。
工人がいなければ茶葉はできない。

製茶時期、茶農家の家人は24時間熟睡できない日々が続く。
将来どうなるのか。
来年どうなるのか。
今秋どうなるのか。
今日どうなるのか。

 

こういう問題は今に始ったことではないが、特にこの2年で急速に状況が変わり
深刻になっている。
製茶しながらでは途切れ途切れのかいつまんだ話になってしまう。
実際はこんな簡単な話ではない。
機会があればまた改めたい。

 

茶友のみなさま&これから茶友のみなさま!

作ることそのものが難しくなっていること、その状況が刻々と変わっていること、
少しでも伝わったら嬉しい。

作れる今、おいしいお茶飲みたい仲間が増えてくれますように。。。
《心の隊員》にひとりでも多く参加してくれますように。。。
新しい茶友が勇気を出して連絡くれますように。。。

将来のことも心配だけど、それよりまず今秋っ!
おとんの家では、コストあがっても工人確保できるだけ幸運、という状況。
工人確保できなければ「おとんの鉄観音」はできないから。
『なんとかおいしい伝統茶作り続けたい』『愛子と茶友のみんなに飲んでもらいたい』と、
毎日朝から晩までおとんは懸命に電話大作戦しています。私は、おとんが工人確保に
集中できるよう、品質と技術面は安心して任せてもらえるよう、そうなれるように!!! 
一分一秒見逃さないよう毎日集中して研究製茶しています。

先のことは分からない。
けれど、今日は目の前に素晴らしい鉄観音ができつつある。
それは真実。
飲んでくれる人がいるから作る力が湧く。
飲んでくれる人が作る喜びをくれる。
飲んでくれる人が路を拓く力をくれる。
今秋また踏ん張れたらきっと好い方法が見つかると信じる。

求むっ!  おいしいお茶飲みたい人ーーー☆ 
お茶飲むのに資格も理由も必要ないよーーーっっっ。
新しい茶友大歓迎中~~~♪ どうぞよろしくお願いいたしますっ!

Continue reading

Home > Archives > 2009年11月

Search
Feeds
AD-Butterfly
sponsordlink
tools

Page Top