ただいま東山

小花～ただいま～♪
　饅頭買ったのね、お客さん？
みんなのおやつ？
揀茶がまだまだ終わらないから夕食までお腹がもたない？

おかしいな。。。こんな気温でそんなに茶葉があるわけないのに。。。

ただいま～♪

ギャーーーッッッ、おとんが炒ってるーーーッッッ。
信じられない、帰るまで炒らないで、って今朝電話で念押ししたのに～～～。

うそ・・・この数日でこんな大きくなっちゃったの？！　
 　あれ・・・。
いや、なんか違う・・・。

なにこれ？

採茶標準、私の要求と違うじゃん・・・。　香気も違う・・・。どこの茶葉？

親戚のおばちゃんがいる。
なんだ、おとん「バイト」してたんだ、あーーー、びっくりしたーーー。　

これは、親戚の原料。
製茶できる人がいないから、おとんが炒茶してあげている。

親戚の土地も、東山内。
なので、これも本物の「明前東山碧螺春」。

しかし、同じ東山でも、おとんの家があるこの辺りとは、ちょっと違う。
おとんの家があるこの集落は、何十代も果樹園を受け継ぎ碧螺春を作り続けているエリア。
東山でも西山でも、そういうエリアは、ほんの一部しかない。

親戚の家、もともと茶樹はなかった。
収入のために、十数年前に開発した畑に植えた。
でも、もともと茶樹が一本もなかったので、製茶できる人がいない。

その辺り、もともと果樹園エリアではない。
果樹や茶樹が全くなかったわけではないが、魚や蟹の養殖がメインの一体。
８０年代、開放以降に、茶樹を植える家が増えていった。

十数年前から、その辺り、新しく開発した茶園が増えていった。
数年前からは、春になると「東山碧螺春」を求める多くの商人で賑わっている。

だって、こっちより取引相場が安いから。
そっちだと、代々碧螺春を継いでいたこの辺りの、約半値。
それを仕入れて、こっちの価格で出したら。。。。。。それ好いじゃん。。。（笑笑）

本物の「明前東山碧螺春」で、間違いではございません♪

私は選ばないけど。。。ね☆

土質が違うの。
水質も違う。
おとんの家のこの近辺とは、土も水も、全く違う。
色が違うから、見ただけで分かる。

それらは全部、茶葉に出る。
茶葉の香気が違うよ。
滋味も違う。
外形で分からないように仕上げることはできる。が、内質はどうすることもできない。

しかし、碧螺春や龍井など、名優緑茶の取引は、外形重視。
取引現場で、内質は見られない。

『愛子、愛子、これ急いで審評して。』
　「いいの？わーい、飲む飲む～。」
『どんな違いがあるか教えてな。』
「はーい！」

なるほど☆

おかん（揀茶中）、ただいま～。

おかんと採茶工人も、今日はバイト分の揀茶もある。
揀茶する量が多くて、まだまだ終わりそうもない。
洗い物もご飯の支度も洗濯の片付けも、朝から後回しで放置状態なのが、見て分かる。

小花が私にくっ付いて周る♪『愛子おばちゃん、これ知ってる？』
 
「知ってるよー。祝福発財の意味だよね。名前なんだっけ。」
『揺銭樹！』

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