- 2010-05-30 06:05
- 10春天♪鉄観音
これは、奇跡。
奇跡の始まり、そして、最後の奇跡になるかもしれない。
2010年2代1歳。
今春、
畑にデビューした茶苗たち。
もちろん天然野生紅芽鉄観音の2代。
天然野生紅芽鉄観音の2代の苗は、もうこれが最後になるかもしれない。
「おじいの苗」、心の中で私はそう呼んでいる。
茶樹は、毎年毎年1歳ずつ生長していく。
3歳の茶樹は翌年には4歳になり、4歳の茶樹は翌年には5歳になる。
毎年新しい苗を増やさない限り、毎年継続して2歳や3歳のお茶は飲めない。
07年あたりまでは、毎シーズン十数種類の2代2歳や2代3歳が作れた。
おとんと私が選ぶ原料、茶友にお分けしてきた茶葉は、ほとんど全て2代2歳か2代3歳だった。
当時は、当たり前のように製茶し、当たり前のように飲めていた。
その2代の苗をおとんが作れなくなって、もう何年が過ぎただろう。。。
おとんの苗は、天然野生紅芽の母樹がなければ増やせない。
おとんは、その2代しか作らないから。
以前は、毎年春の(年によっては秋の時も)製茶終了後、日を選んで高山に入り、
好い状態の母樹を選び、生態系に影響がない程度にその芽を摘み、家に持ち帰って苗床を作り、
翌春に生長状態の好い苗を選んで開拓準備してきた畑に植え、そうやって毎年毎年少しずつ
必ず新しい2代の茶樹を増やしてきた。
その母樹たちが、茶園開拓等で異常に森林伐採されたりした影響で、おじいやおとんたちが
生まれ育ったこの大自然の山奥から急激に姿を消し、そして現在、おとん鉄観音の2代2歳や
2代3歳の「あの感動」は、当時飲んだ人間の記憶の中に存在するだけになろうとしている。
すでに今年、「2代3歳」はない。
おとんが管理する山々にも、まだ天然野生紅芽の母樹は生き残っている。
しかし、製茶するためには、それだけではどうすることもできない。
数年後に1球の茶葉を作るためには、今少なくても2000本の苗が必要だ。
2000の母樹の芽がなければ、数年後に1球(数斤)も作れないのだ。
1球の茶葉を作るために、一体どのくらいの健康な母樹が必要であろうか。。。
振り返ってみると、最後になったのは確か05年か06年だったような気がする。(おとんが起きたら確認してみる。【追記:確認した。
05年農暦10月末(公暦11月末)だそうだ。】)
最後に僅かながら母樹から増やすことができたその2代苗は、昨年09年に3歳になった。
一番若いその茶樹は、今年4歳になる。
すでに3歳の茶樹はなく、2歳もないから当然来年3歳はなく、このままでいくと来年一番若い茶樹は5歳。
その次の年はそれが6歳になり、その次の年は7歳に、、、8歳に、、、9歳に、、、。
伝統茶の2代2歳や2代3歳の製茶年度だけに味わえる「あの感動」は、もう二度と誰も体験することができず、
長い歴史からも消え、飲んだことのある今生きている人間が最後の生き証人で、その思い出になろうとしていた。
おとんは、ずっと探し続けていた。
私も、あきらめてはいなかった。
もう何年も何年も、継続して探し続けていた。
条件を満たす母樹、天然野生紅芽を。
おとんがやってくれたっ☆
チャンスが来たのは2009年農暦5月29号(公暦6月20日)。
私がおとんの家を去って数日後、
あの日の翌日
(ふいみんと私にとっても忘れられない気合の日)。
おとんがやっと探し出した貴重な母樹の約2000の芽。
無事に苗樹に生長し、本年2010年立春前、畑にデビューした。
おじいは、おとんが準備を始めるとすぐに苗の側に来て、苗をひと目見てパッと顔を輝かせ、
すぐに「聞」して『これは好い苗だ』『これは好い苗だ』と連発し、おとんが苗を畑に植える3日間、
一日中横でその様子を見ていたそうだ。
それから数日後、おじいは先に逝った。
農暦12月16号(公暦1月30日)、米寿、数えの90歳まであと14日だった。
この苗を原料に製茶できるチャンスは、最大で毎シーズン1回のみ。
「2代1歳」:2010秋茶。
「2代2歳」:2011春茶 & 2011秋茶。
「2代3歳」:2012春茶 & 2012秋茶。
それぞれ、1球のみ。
現在、2代の苗樹はここだけだ。
今年、条件を満たす母樹はまだ見つかっていない。
最後になるかもしれない。
チャンスはそれぞれ一度、やり直しはできない。
その日がくるまでに、成し遂げたい研究課題がたくさんある。
間に合うか。
本気で行く。
おじい、見ててっ☆
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