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高温使い

女尼「ねえねえ、おとんが高温使いって?どういう意味?」

  愛『ああ、高温を使って最後まで炒り続けられる人は少ないから。
碧螺春炒る人はいっぱいいるし見ているだけだとよく分からないけど、
おとんのように高温を使って毎日連続して全釜出来る人って実際は少ないんだ。

ここまででもいろんな場所でいろんな人の炒茶を見てきたでしょ?
熱いのが我慢できない時に途中で釜の温度を落とす人は多かったでしょ?
びっくりするくらいぬるい人もいたでしょ?
碧螺春でも龍井でもそういう人っていっぱいいたでしょ?

楽だしそれでも一応形にはなるし、外形作るためにわざと温度落とす場合とかもあるし、
でも色も形も違うし仕上がりまでの時間も変わっちゃうでしょ?
なにより味がぜんぜん違ってくるの。
仕上がり後の外形でその差がよく分からなくても、淹れてみると味わいがまったく違うの。
時間が経過するともっとはっきりと味わいの差が出てくるよ!』

 女尼「へ~、炒茶職人みんなが耐えられるものでもないんだ。」

  愛『炒茶すれば、どんな人でも高温じゃなくても必ず火傷は増えていくからね。
けど、熱さに強い人も弱い人も自然にいるからさ。
例えば、熱いお風呂が大丈夫の人もいれば耐えられない人もいるし、
ぐつぐつの鍋からすぐに食べられる人もいれば猫舌の人もいるじゃん。
そういうのと少し似ているかもね。

訓練である程度は耐えられるようになるみたいだけど、向き不向きはあるんだって。
何十年炒っていても出来ない人は出来ないんだって。
西山の湖おじちゃんも言っていたし、龍井の歌おじちゃん達もそう言っていたよね。

でもさ、毎日毎日何釜も何十釜も炒っていたら誰だってすごい火傷だらけになっていくからさ、
熱さに強い人でも耐えられなくなって手を休めたくなるのは分かるよね。
だから、一日の中でも等級を分けたりするしさ~。
私みたいに数日じゃなくて、炒茶する鮮葉はこれから毎日毎日どんどん増え続けるしさ~。
炒青になったらもっと熱くてもっと痛くてもっと辛くなるんだよおーーー!

で、おとんは手がどんな状態の時でも高温を使って炒る方法なの。
もともと高温を使う人なんだ。おとんの手はそれが出来るの。
高温を使いこなす炒茶法、だから高温使い。
全ての釜を必要なときに必要な高温から逃げないで仕上げる好い方法なの。
これってすごいことだよね。
でもね~、実はね~、親戚用とか自宅用とか安いオーダーが入った時なんかは
適当に炒ってるよーーー、うぷぷっ!

今春は、私が炒茶している時におとんは釜の温度を落とさないでしょ?
私もどんなに熱くても絶対に熱いとは言わないからさ~、ぐはは♪
言っている言葉の柔らかさとは違って実際は結構スパルタだよおーーー!』

 女尼「愛子が炒っているときに私が「熱くないのかな?」っておとんに聞いたら
『そりゃすごく熱いに決まってる!熱くないわけがない!』とは言っていたけど。
でも愛子の手の状態までは気付いていないよね~、ふっふっふ。
ねえねえ、高温が必要なときってどんなとき?」

  愛『特に重要なのは、殺青・カーン・最後の団。

まず投入時の高温のタイミング。
そこから最初の工程である殺青が終わるまで。
殺青の工程が進むごとに鍋全体が熱を持ってどんどん高温になってくるから、
茶葉の状態と鍋の温度を見ながら、必要以上に高温になり過ぎないように
火を調整しながら殺青を進めるの。
で、すばやく殺青を成功させたらそのまま高温を保ってカーンに入る。

カーンと翻でも高温が必要。
その日の気候や鮮葉の状態や量などによって差があるから、
茶葉の状態を目と手の感覚でよく見ながら火を調整しつつ、
必要な高温を保ってすばやくカーンと翻。

カーンが成功したら今度は温度を少し落として軽い団に入っていくの。
最初の団や途中の団で高温すぎたらダメなんだ。

鉄鍋の温度は急には変わらないから、投入時から仕上がりまで
先を読みながら火の調整をしていくの。だから碧螺春の柴鍋は、
息の合ったふたりでペア組むのが理想的だって言うのがよく分かるよね。
高級薪師(♪)のふいみんも重要な存在なんだよーーー!

団が次の段階に進めるまで茶葉の状態が来たら少しずつ温度を上げて、
その温度を一定に保ちながらさらに団を進めて、
白芽が姿を現し始めたら状態を見ながらもう少し温度を上げていって、
白毛が姿を現し始めたら最後の勝負っ! 際どい高温に調整して一気に仕上げに入っていく!

ほら、私が炒茶しているときに「やっていいよ」って言うときがあるでしょ?
あれは一番温度が下がっているときだから。
一緒に団やっていてしばらくすると、おとんがふいみんに「もう手を離して」って言って私ひとりになったり、
「代わって」って言ってふいみんの場所におとんが入って、おとんと私のふたりでやる時があるでしょ?
あそこから最後の仕上げに入るの。

成形が固まるすごく重要な工程が始まるんだ。
外形もそうだけど味わいにも影響する難しい工程だから、私がひとりで炒茶するときも
必ずおとんは横にいて手が出せる距離で見ているでしょ?
あの段階で手も茶葉もかなり熱くなっているけど、
あそこからの最後の高温に耐えて強い団が出来る力と技術がないと、
茶葉はボロボロになっちゃうし味わいも変わっちゃうし、
碧螺春の白毛も出てこなくなっちゃうの。』

 女尼「そうっか!あのタイミングだったんだ~。」

  愛『そうそう、ふいみんが参加していた団は、実は全工程の中で一番温度が低いときで
外形にも味わいにもあまり影響がでない工程だったんだ。あはは!
そこまで熱くなかったでしょ?』

 女尼「最初はぜんぜん熱くな~い、気持ちい~、とか思ってやっていたんだけど、
だんだん熱くなって我慢ができなくなって、何分もすると手が茶葉から引いちゃうよー。」

  愛『はは、そうだよねー。私はその時は忘れちゃうんだけど、
終わった後ですごく熱くてすごく痛かったことに気付くんだー。
でも大丈夫だよ!根性があればそのうち慣れるさ!絶対に出来るよ!
おいしい碧螺春がもう目の前まで来てる♪とか思ったら熱いのも痛いのも忘れちゃうって!

で、その重要な団をすばやく成功させて白毛がしっかり出せたら
ホン干も進んできているから、団も弱めて火も弱めていくの。
ホン干も最終段階の調整に入ってきているから、
団の方法もそれまでとは違って白毛を茶葉と一体化させる方法に変えて、
そうなったらもうその鍋の余熱で最後まで仕上げて大丈夫。

最終の仕上げをするその時に、ちょうど好い弱めの文火が持続するように、
白毛が出始めた段階から薪は調整しておくの。


だから、高温使いって言っても最初から最後まで高温っていう意味じゃないよ。
工程によって適した必要な温度があるからね。お料理と少し似ているよ。
炒め物を弱火で火が通るまで炒ったりしてもおいしくないでしょ。
だからといって、煮物をするときにずーっと強火でもおいしくないでしょ。

各工程と温度の関係って外からは見えないけれど、炒っていて少しずつだけどわかってきた。
でも、毎日毎日気候も鮮葉の状態も違うから、何年も続けて経験しないと無理だよねー。』

 女尼「経験もそうだけど、炒茶は感覚とセンスが重要ってどこでも聞くよね。
やっぱり難しい~。泡茶の熱さは慣れているから大丈夫なんだけど、
炒茶の熱さって全く質が違うし、おとんにも言われたけど、わたしの手はそこまで
強くないと思う。」

  愛『大丈夫だよ!うひひ。ここに炒茶を教わりに来る東山の職人さんたちがいるでしょ?
おとんは熱さから逃げる方法もちゃんと教えてるよ~!』

 女尼「そうなんだ! でもそうだよね~、1日十数釜を炒茶する人は大変だよね。
高温使える人でも手が壊れちゃうよー。」

  愛『ふいみんっ、加温ーーー!(釜の温度をあげてー!)』
 女尼「はいー! えーと、このくらいかな!」
  愛『正好ー! すばらしいっ♪』


おとんが様子を見に戻ってきた。

おとん『おおー、すばらしい香りだー!』

愛&女尼『きゃははーーー、また始まったよ~♪』

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