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兄弟子はいかに

ちょっとご近所へ挨拶周り~。

ここは兄弟子(歌おじちゃんの弟子)の炒茶室。
数年前、おじちゃんから『青鍋はあいつが上手い、回鍋はあっちが上手い、
摘みはそっちがきれいだ、どんどん回ってあっちでもこっちでも教わって来い。』
そう言われて、村の中の炒茶人の鍋を回りながら武者修行(笑笑)して教わった内のひとり。
私と同世代、若手の職人。
 あれ。。。いない。。。炒っていない。。。

鮮葉は届いて涼干中、か。ちょっと拝見。。。

んんん???アギャーーーーッッッ、なんじゃこりゃ?!
 
ひどいよ・・・これは・・・なんだなんだ・・・どうしたんだ・・・。

兄弟子のお母さんが横に来てこっそり私に言う。
『家のは全然ダメでしょ。愛子のおじさんやおばさんのは本当に好いよね~~~。恥ずかしい。』

「どうしたの?なんでこんなに標準がばらばらなの?」
『息子の茶樹管理が悪い。嫁の茶摘指導も悪い。私が現役の頃はこんなんじゃなかった・・・。』
「それにしても・・・。」
『一度楽することを覚えてしまうと、苦労しなくなるもんだねぇ・・・。』

人間が茶樹の管理(剪定や肥料やり等)を怠っても、春が来れば茶樹は発芽する。
ただし、その新芽の発芽条件はばらつく。

人間が意識して丁寧な茶摘をしなくても、摘めば摘むほど新芽は収穫できる。
ただし、その新芽の原料標準はばらつく。

ばらつきがある原料を手炒するのは非常に難しい、手炒後に外形修正は困難。
しかし、機械炒すれば見かけはあまり変わらない、機械炒後に外形修正もできる。

条件揃った新芽を加工したほうが品質高くおいしい茶葉になるのは、手炒も機械炒も同じ。
しかし、取引時に試飲などしない、内質の確認などしない。
外質の良し悪しで龍井は取引される、見かけが美しい方が高値で売れる。
これは碧螺春も同じ。


おじ『愛子~、どうだった?』
愛子「え?・・・ははは。」
おじ『こっちとは違っただろ。』
愛子「大違いだね~。」

夜、みんなが寝静まった後、歌おばちゃんと一緒に足洗いながらひそひそおしゃべり。

おば『近所見て回ったんだって?あそこ(兄弟子)どうだった?』
愛子「ん?・・・はは、なんであーなっちゃたの?」
おば『あの子はこの2年、茶樹の手入れを全然していない、ささっとやって終わりだった。
   その代わり、この2年でどんなにひどい原料でも上手に機械炒できるようになった。
   それは本当に上手だよ、でも原料はどんどんひどくなっていく。
   母親は何度も何度も叱っていたよ、来春の品質に影響する、きちんと手入れしろって。
   でも言う事を聞かない、稼いでいるんだからいいだろ、で終わる。
   汗流して茶樹の手入れするより、楽していかに収入を増やすかに力入れている。
   あんな標準でも機械で仕上がれば、こっちのより高値で売れるんだからさぁ~、
   仕方ないよ・・・そう思わない?』

Comments:2

ふいみん 2008-04-13 (日) 02:14

あの楽しそうに炒茶していたお兄ちゃんまでが??
確かに効率よく稼げる賢いやり方。やっぱり頭いいんだね、でも、寂しいね。。。
その母親とおばちゃんの言ったことが胸に沁みる。。。
人間の心が時代を変えているのか時代が人間の心を変えているのか「鳥と卵の」問題のように思えるね。

それでも自分のこだわりを貫くおじちゃんとおばちゃんに、かんぱーい。

愛子 2008-04-18 (金) 03:49

ふいみん!
今の中国の背景を考えると、仕方ないこと、どうすることもできないこと、たくさんあるよね。
それは、歌おじちゃん&歌おばちゃんにとっても、また同じ。
そんな状況になって尚、『愛子のだから』『家族だから』と毎年毎年ここまで継続してやってくれる。
この縁、大切にしたいね。

余談:
翁家山で炒茶しているとき、近所の炒茶人たちから素敵な?あだ名?つけられた♪
ふふふ。。。帰国したら教えてあげる、想像しながら楽しみにまっててねー。(笑笑)

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