- 2011-07-09 13:00
- 11春天♪碧螺春
碧螺春の裏話です。。。ここだけの話ね。。。東山のおとんには内緒よ。(笑笑)
実は、今春の始め、
東山のおとんは少しいらついていた。
息子からもその嫁からも娘からも娘婿からも親戚からも、周りのみんなから連日言われていたから。
『なぜ儲かりもしない茶葉を作る』
『なんで愛子のためにそこまでする』
『鮮葉で外に売れば大金になるのに』
『みんなそうしてるのに』
『なんで丁寧な剪定をする、収穫(収入)が減るじゃないか』
『なんでわざわざ自分で炒茶する、その間にもっと摘んで外に売った方が儲かるのに』
『なんでそんな真剣に作るんだ、適当に炒っても価格は変わらないのに』
『国内の金持ちに売れば大金になるのに、なんでそういう相手を探さない』
そんなこと毎日言われ続ければ好い気がしない、信念があっても心が折れそうになる。
到着した当初、私は少し肩身狭く感じていた。
現実は、本当にその通りだから。
他人に売ったほうがおとんおかんの収入になる・・・私はもう来るべきではないかもしれない・・・。
そんな私の気持ちを察してか、おとんとおかんはある日、森の中でこう言ったの。
『愛子気にするな、これは俺たち3人の問題だ、おかんとも話し合った、同じ意見だ』
『この茶葉は老人ふたりでやっていることだ、他の誰も関係していない』
『一年間労働して山と茶樹を管理しているのはおかんと自分のふたり、だれの助けも借りていない』
『普段一度も手伝いもしないのに、収穫期になって突然なんだ、首突っ込んできて』
『いくらで誰に売ろうが、あいつらには関係ないじゃないか』
『もちろん言っていることは分かるさ、良かれと思って言っているんだろう』
『確かに最近は外に毛茶(鮮葉)で売った方が楽に大金になる、知っているさ』
『しかしそんなの一瞬だ、たった数日間だ、目先の儲けで動き回って結局は疲れるだけだ』
『そういうやり方は自分は嫌いだ、こうやってひとつひとつじっくり自分で作りたい』
『もう老人なんだ、今更儲けてどうする、おかんとふたり普通に食べられれば十分だ』
『年に一度、愛子と一緒に炒茶する、短い間だが一緒にいられる、いいじゃないかそれで』
『春が来るのが毎年楽しみだ、労働も楽しい、それの何が悪い』
『この茶葉はおかんと自分と愛子の3人で作っているんだ』
『愛子は娘同然なんだ、誰の指図も受けねー、気にするな!』
おとんずっとしゃべり続けて、横でおかんは『うん!うん!そうだー!』とずっとうなずいていた。
まるで自分達にも言い聞かせているようだった。
東山のおとん、筋金入りの職人気質。。。頑固者(笑笑)。。。感謝します。
現在、本当の意味での伝統茶は、「頑固者」か「変人」でもない限り、作れない。
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