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早種の第1蓬

今春は昨春よりも遅い。数日から一週間ほど、かな。春節が例年に比べ早くて寒かったから。
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まだ硬い。           新しい細枝はちょっとだけ早い感じ、先っちょに薄緑が覗いている。

摘み立て~♪ 本日もほぼすべて初摘み樹の第1蓬だよ☆  ぎっしりどっしり詰まっている感!
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『早種の第1蓬がそろそろ終わる、明日はもし雨が降らなくて摘めたとしてもあと1鍋分摘めるかどうか、だ。
晩種がまだ発芽しない、そろそろ発芽してくれないと、、、今年は寒い、まだ発芽しない。』byおとん

おとんの家は代々果樹園を継いで碧螺春を作ってきた家系なので、碧螺春の茶樹も伝承の品種しかない。
伝承の茶樹(老蓬)は野生種なので、現在多く栽培されている改良種のように一斉に揃って発芽するわけではなく、
一本一本個体差がある。その中でも『早種(発芽の早い樹)』と『晩種(発芽の遅い樹)』に分類することができる。

今、おとんの家で収穫期を迎えているのは、その『早種』。
例年、初摘みからの数日間は、ほぼこの『早種の第1蓬』。
この天然の『野生種の早種の第1蓬』は、非常に高値で取引される碧螺春の中でも一番の高級等級。
しかし、近所の農家さん(みんな代々果樹園を受け継いできた)でも、ほとんど残っていない。
私たちが毎年この希少な天然種の原料で作った春分前後の茶葉(【分前茶】や【明前前期】)が飲めるのは、
この伝承の『早種』をおとんとおかんが大切に残し年間を通して丁寧な手入れをして育てているから。
今は、それがほぼ終わりに差しかかっている。

この『早種の第1蓬』が終わる頃に、今度は『晩種の第1蓬』が収穫期を迎え、それが終わる頃に『早種の第2蓬』。。。
そうしているうちに、日に日に気候が暖かくなり、あっちもこっちも発芽してくる。
という感じなのだが、年によってはそううまくいかないときもあり、途中で発芽待ちで『停工』になることもある。
今年は、『早種の第1蓬』の途中で、すでに3日間停工している。
寒くてなかなか発芽しないのだ。

しかし、自然というのはうまくできているなあ、と関心する。
野生種の発芽期には一本一本個体差があるから、たとえば天災(冬の冷害、夏の害虫異常発生、等)から
全滅を避けることができるし、収穫期が分かれるから収穫期も長くなり収穫物のバランスも取れる。
これをもし人間の都合で、高値で売れる時期に収穫期を迎える品種のみに全部植え替えてしまうと、
いつかの「翁のおばちゃんの末の弟」のように、その年の収穫物が全滅・・・なんてことになっちゃうんだなぁ。
稼ぎたい気持ちはわかるんだけどね・・・。

翁のおじちゃんは、周りがどんどん植え替えてしまっている中で、老蓬の前に発芽する新蓬も作るけど、
老蓬の早種も晩種も自分の意思できちんと残していた。

それにしても、明日は果樹園めぐりしてあっちこっちで探して摘んで集めて、やっと1鍋分だって~~。

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